gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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小型ロケット参入、再点火  :日本経済新聞

小型ロケット打ち上げ事業への参入を目指す日本企業が、相次いで再挑戦に臨もうとしている。キヤノン電子インターステラテクノロジズ(北海道大樹町、稲川貴大社長)がそれぞれ、初打ち上げ失敗の経験を糧に2度目の打ち上げに挑む。民間のロケットビジネスを解禁する宇宙活動法が11月に本格施行する前に成功すれば、事業化に向けて大きく展望が開ける。
キヤノン電子は2月3日にも宇宙航空研究開発機構JAXA)が手掛ける電柱大のミニロケット「SS―520」に制御装置などを搭載し、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げて性能の実証を目指す。
2017年1月の初打ち上げはほろ苦い結果で終わった。無事に打ち上がったものの、まもなくロケットからの情報が途絶えた。予定外の方向に飛んでいく危険を考え、ロケットの点火を中断。機体を海に落下せざるを得なかった。性能を確かめるはずだった衛星や制御機器は海中に消えた。
JAXAは、配線のショートが原因である可能性が高いとし、今回は5つの対策を施した。
配線の束を通した金属製の穴の縁に保護材を取り付け、配線を傷つけないようにした。配線がロケットの外側を伝う部分では、保護筒の形を変えるなどした。空中を進む際にかかる加重や加熱により耐えられるようになる。ショートの2次被害を防ぐため回線を見直した。
(中略)
今回の打ち上げが成功すれば、実証できた制御装置を組み込んだロケットの設計図づくりに役立つ。自社ロケットの打ち上げ実証のほか、宇宙活動法でロケットの型式や発射場の認定を受ける手続きも待っており、制御装置だけでもいち早く実証できれば弾みがつきそうだ。
インターステラテクノロジズは今春にも観測ロケット「MOMO」2号機を打ち上げる。同社も17年の初打ち上げは通信が途絶えて失敗している。機体の部品が圧力で破損したとみられる。
再起を期す同社は1月下旬、東京都内で実物大の模型を公開した。創業者の堀江貴文氏は「2号機が成功すれば3、4号機とどんどん打ち上がるだろう」と期待した。
披露した模型はSS―520とほぼ同じ大きさだが、液体燃料という点で異なる。発射場は大樹町の支援を受けた敷地を使っている。地元の期待が大きいだけに、今度こそという気持ちは強い。
一刻でも早い打ち上げ成功を追い求めるのにはわけがある。1つはロケットの打ち上げを企業に開放する宇宙活動法の成立だ。11月に本格施行すれば、企業から申請を受け付け、国が認めるかどうかの審査に入る。申請や認定という形でも「打ち上げ成功」の実績は大きく影響する。
(中略)
小型ロケットへの相次ぐ参入は小型衛星の需要拡大を見込んだ動きだ。大量の小型衛星で地球を網のように取り囲み、どこからでも通信や観測ができる「コンステレーション」ビジネスが加速しつつあるからだ。
小型衛星は1基あたりの機能は限られ、数で機能を補う必要がある。米調査会社によると、需要は23年に460基と16年の4.6倍に増える。
小型衛星の数が多いと、それだけロケットも必要になる。大型のロケットに複数の衛星を相乗りして運ぶよりも、小型ロケットで好きな時期に少しずつ打ち上げる方が利点が大きいと参入企業は考えている。
今後、市場が大きくなれば、海外からの参入も相次ぐ。国内企業はまず国内で小型ロケット打ち上げ成功を競うが、その先には海外勢と市場を取り合う真の競争が待ち受ける。
(科学技術部 猪俣里美)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26277100Z20C18A1X11000/

割とよく勉強して書かれている記事じゃないかな。
既に成功実績があったSS520が失敗したのは、民生品利用率を高める為に、都度微修正を設計に施していた為で、設計変更部分に失敗要因があった。
この失敗原因に対する究明も、情報公開も万全であり、記事にもある通り、今回は、その部分に対する対処をしているので、それを原因とした失敗は起こり得ないだろうが、やはり設計変更に伴うリスクは常について回る。
民生品を使って安価に…というのは、理想ではあるが、信頼性と言う観点では、全くの愚策である点は、もう少し周知理解されても良いと思う。
対して、MOMOなのだが…インターステラテクノロジズ社のページに行っても、失敗原因については「機体の不具合によって機体内部電子装置の電源が喪失したと推測されます」以上の情報は無く、当然ながら対策も「漫然と全般的に対応」という、実に場当たり的なものになっているだろう事は、想像に難くない。
心意気自体には、買うところが無きにしも非ずなのだが、こちらの方はしばらくは墜落・失敗を繰り返すんじゃないかな…。それはそれで、蓄積できるものはあるだろうから、無駄とは言わんけど。
最後に、小型ロケット市場だけれど、ぶっちゃけ言うと、SS520もMOMOも、価格的にも信用的にも、国際競争力は無いに等しい。
そもそも、国際競争力がある欧州では、法規制や手続きの簡略化など、国全体がバックアップしてるんだから。
記事にもある通り、「宇宙活動法の成立」によって、状況の変化はあるけれど、国が許可とお墨付きを出すだけで、支援してくれるわけじゃないし。
せめて、政府が補助するなり、JAXAから技術支援させるなり、最低でも国内需要は国産ロケットに限定させる仕組みにしないと、早晩潰れるんじゃないかな…。
一番良いのは、SS520と同規模の弾道ミサイル迎撃用ミサイルを国産開発して、中距離弾道ミサイル弾道ミサイル迎撃用ミサイルと小型衛星用ロケットとで1段目をコンパチ仕様にする事だと思う。
2段目を用途に応じて変更して、使いまわせるタイプ。
その場合、SS520は性能が中途半端過ぎるので、SM3の高度迎撃用で開発中止になったSM3ブロック2Bにも転用できる性能規模で開発して欲しい。
まあ、色々な意味で無理だと思うけど。