gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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asahi.com(朝日新聞社):出版業界の流通革命?返品改善へ「責任販売制」広がる - 社会

小学館講談社筑摩書房など大手・中堅の出版社10社が、新たな販売方法「責任販売制」に乗り出した。定価に占める書店の取り分を現行の22〜23%から35%に上げる代わりに、返品する際の負担を書店に求める制度だ。出版不況の中、長年の懸案だった4割に及ぶ返品率を改善する狙いがある。
高い返品率の背景にあるのが出版業界の慣行となっている「委託販売制」。書店は売れなかった本を返品する際、仕入れ値と同額で出版社に引き取ってもらえる。多様な本を店頭に並べられる利点があるが、出版社の負担は大きい。
小学館は昨年11月に税込み6300円で発売した「ホームメディカ新版 家庭医学大事典」(現・6825円)で、書店の取り分22%の委託販売制と35%の責任販売制のどちらかを書店が選べるようにした。返品を定価の30%の額でしか引き取らない責任販売制では7500書店から5万6千部の注文があり、これまでに7割が売れた。委託販売分は1万4千部で売れたのは半数にとどまるという。成功を受け、小学館は第2弾を決めた。7月に「くらべる図鑑」(1995円)など3点を出す。
講談社も「CDえほん まんが日本昔ばなし 全5巻セット」(6825円)を10月に発売する。書店の取り分は35%、返品は定価の40%。共同で責任販売制を書店側に働きかけるのが、筑摩書房河出書房新社青弓社中央公論新社二玄社早川書房平凡社ポット出版の8社。11月に各社1〜6点を刊行する。書店の粗利益は35%で、返品も定価の35%で引き取る。
小学館マーケティング局の市川洋一ゼネラルマネージャーは「責任販売制で書店は高マージンで経営が安定し、意欲が向上する。版元も計画生産ができる」と話す。
店頭では返品を避けるため、出版社の同意を得て値下げ販売も出そうだ。返品コストが減れば、本の価格水準が下がることもありうる。一方で、品ぞろえが偏ったり、在庫を抱えて苦しんだりする書店が出る可能性もある。
出版科学研究所によると、書籍の推定販売額は96年の1兆931億円を頂点に下がり、08年は8878億円に落ち込んだ。返品率も90年代前半は30%台前半だったが、以降は高止まりの傾向が続き、08年は40.1%だった。
出版社の在庫を管理する倉庫会社「昭和図書」の大竹靖夫社長によると、08年の出版社への返品はコミックスなども含めて約8億7千万冊。4分の1は再出荷もされずに断裁処分され、損失額は年間約1760億円になるという。
大竹社長は「責任販売制は本の世界の流通革命。この動きは確実に広がっていく。今後5年で書籍の2割が責任販売になれば、その後は一気に広がるだろう」と話している。(西秀治)

http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY200906210201.html

これは、書店買い切りと委託販売制の中間にある解決なんだろうけれど、零細書店と零細出版社は潰れろという話になりそうな悪寒。
理由としては、大書店を除けば、取次ぎが配本しているセットを店に並べて売っているだけだから、取次ぎがセット中に責任販売制の本を混ぜてくれば、嫌でも扱わざるを得ない可能性があるから。
同時に、委託販売制は営業力の弱い零細出版社の本も、低リスクゆえに書店が扱ってくれるので売り安いというシステムであるから、それが崩壊すれば当然、零細出版社の本なんて扱ってくれる書店は減る訳で。
まあ、取り次ぎ任せでロクに本の目利きもしないで、委託販売制で温い商売してきた書店の淘汰は構わないんだけど、零細出版社がなくなるのは痛いかも。
リアル書店が「新しい本との出会い」の場だった時代が完全に終焉し、図書館も小規模化と迎合の末に人気作しか扱わなくなれば、更に出版社の商売は先細ると思うんだけどねぇ…。
…その代替は、新古書店になったりして(爆)
零細出版社の崩壊に関しては、その辺りを「同人誌のネット販売」が吸収…となったらある意味面白いかも。
そこから「ペーパーレス」が始まるとか。