gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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ステルスはもう古い? 飛行機は「極超音速の時代」へ : 大艦巨砲主義!

「さらなる速さ」を目指し、発展してきた飛行機。しかし近年は「コンコルド」の引退など、その動きが停滞しています。なぜ、そうなってしまったのでしょうか。しかし近い将来、飛行機は再び「スピードの時代」になるかもしれません。
(中略)
なぜ、飛行機はスピードを出せなくなったのでしょうか。その大きな理由は「熱」と「エンジン」にあります。
マッハ2くらいから、「ハイパーソニック極超音速)」と呼ばれるマッハ5以上のスピードに達すると、機体の前縁において空気が強烈な圧力で潰され、「断熱圧縮」と呼ばれる原理によって膨大な熱を発生させます。その温度は摂氏1000度を超え、通常の航空機で使用されるアルミニウム合金では耐えることができません。
また、現在のジェットエンジンは技術的な問題から、超音速飛行時においても取り込んだ空気をいったん音速以下に減速させたうえで燃料を吹きかけ、燃焼させています。しかしハイパーソニックにおいてそれは効率が悪すぎるため、超音速で流れる空気を使って燃焼させる必要があり、非常に高い技術力が要求されます。
残念なことに人類は半世紀ものあいだ、これらの問題を“燃費や経済性を度外視しない限り”、解決できないでいました。
(中略)
アメリカでは現在、ハイパーソニックを実現するいくつかのプロジェクトが進行しており、すでに2004(平成16)年にはX-43「ハイパーX」が無人機ながらマッハ9.6(およそ11265km/h)を達成しています。
また、2020〜30年頃の実用化を目指すロッキード・マーチンSR-72「ブラックバードの息子」など、ハイパーソニック機やミサイルが開発中です。それらは炭素繊維複合材やセラミックといった、従来の金属よりも耐熱性に優れた素材を高熱部に用い、さらにハイパーソニック域での燃焼効率を追求し開発された「スクラムジェットエンジン」によって推進力を得ます。
(中略)
アメリカでは「ステルスの時代」を経て、再び「スピードで振り切る時代」が到来するであろうと予測しているのです。
(後略)

http://trafficnews.jp/post/49614/

アメリカは第5世代戦闘機の要件として「ステルスである事は絶対ではない」と考えて居て、F22がステルス戦闘機でありながら推力偏向エンジンと高い運動性と超音速巡航性能を持たせていた事からも、それは明らかである。
どっかの特定アジア諸国の様に「ステルスさえあれば無敵」みたいな思想は元々持っていないし。
加えていうなら、X43に代表される極超音速機は、弾道ミサイルに代わる兵器として模索されていた兵器である。
失敗国家・北朝鮮がバカスカ撃ってるので、世界は鈍感になりつつあるが、本来は「無警告の弾道ミサイル発射=先制核攻撃」と受け取られても文句は言えないぐらいの危険な行為であって、冷戦最盛期なら、それがダミー弾頭だろうが自動的に報復核攻撃されてるレベルの危険な「先制攻撃」に該当するのだ。
仮に、アメリカが北朝鮮と同様の建前(イイワケ)弾道ミサイル発射実験を、中国やロシアに向けて行ったら、即時核戦争の引き金になる事は、議論の余地も無い現実である。*1
その意味で、アメリカもロシアも、「あらゆる場合に置いても、弾道ミサイルを禁じ手にされている」のだ。*2
しかし、アメリカとしては「撃たれたら迎撃困難で、ほぼ確実に命中を期待できる」という弾道ミサイルを禁じ手にされてしまうと、非対称戦でも使えなくなって、不便だった。
湾岸戦争で大活躍した巡航ミサイルも、最近の地対空ミサイルの発達で、亜音速で飛ぶ旧式だと撃墜されてしまう事も多くなった事もある。
かと言って、超音速で飛ぶ巡航ミサイルは、それでなくても高額な巡航ミサイルの中でも更にお値段が高い。*3
そこで、明らかに弾道ミサイルとは異なる軌道で飛ぶために、「弾道ミサイルと誤解されない」けれど、弾道ミサイルと同様の極超音速で飛ぶ極超音速機を飛ばして、極超音速機から精密誘導爆弾などを使えば、安価に超音速巡航ミサイルよりも優秀な攻撃兵器になるのではない、と言う考えらか研究されているのが、X43に代表される極超音速機である。
しかし、その特性である極超音速巡航から、「有人」である必要性は低く、この技術が開発されても、この記事にあるように「民間転用で旅客機へ」という未来は、ほぼ来ないと思う。

*1:特に中露はMD技術を持たないので、1発でも撃たれれば、ほぼ確実に直撃するので、撃たれて核爆発が起きた後に反撃する、なんて余裕はないから尚更。日本の様に、一発だけなら誤射かもしれない…なんて新聞が言するのは狂気の沙汰でもある。一発だろうがMDを持たない国が核を撃たれたら確実に2桁万人の死傷者が出るのだ

*2:ただし大朝鮮たる中国だけは別。北朝鮮を隠れ蓑にして弾道ミサイルの使用ハードルを下げる事を画策しているから。中国は弾道ミサイルによる先制飽和攻撃を対日攻撃戦術の一つとして組み込んでいる事からも明らか

*3:アメリカは保有すらしておらず、ロシアのみ保有。非対称戦でしか巡航ミサイルを使わないアメリカと、対米戦力として揃えているロシアとのドクトリンの違いと言える