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陸自車両、コマツが開発中止…高コスト低利益(読売新聞) - Yahoo!ニュース

陸自車両、コマツが開発中止…高コスト低利益(読売新聞) - Yahoo!ニュース

自衛隊の車両の開発・製造を手がけてきた建機大手の小松製作所(東京都)が、自衛隊車両の新規開発事業を今後は行わない意向を防衛省に伝えていたことがわかった。開発コストに見合う利益が見込めず、開発・製造態勢の維持が難しくなったのが理由という。防衛関連企業の大手が事業中止に至るのは異例で、国内産業基盤の維持・強化を掲げる政府にとって痛手になりそうだ。
同社が2017年度に同省と結んだ契約(中央調達)は総額約280億円。航空機や艦艇など高額装備品のメーカーを含めた企業別の契約額で7位に入る。
同社は1983年度に配備された陸上自衛隊初の国産装輪装甲車を開発。海外派遣などの際に使われる自衛隊車両の製造では最大手で、2002年度に配備された軽装甲機動車(LAV)は計約2000両を生産し、イラク派遣や国連平和維持活動などで活躍した。NBC(核・生物・化学兵器)偵察車も同社製だ。
だが、陸自部隊の海外派遣は17年の南スーダンを最後に途切れ、最盛期は年間約200両で推移していたLAVの受注は低迷。関係者によると、同省はLAVのモデルチェンジを計画して打診したが、同社は、開発コストに見合う利益が見込めないと判断し、昨年秋、「現状が続く限り、車両の新規開発は行わない」と同省に伝えた。納入予定数が残っているNBC偵察車の生産と、既に納入した車両のメンテナンスは一定期間続ける方針という。
同社の開発中止方針を受け、同省は今後、新型車両を導入する際には、他の企業への発注を検討することになる。
政府は、13年に閣議決定した国家安全保障戦略で、「防衛生産・技術基盤は、防衛力を支える重要な要素」と位置付け、国内産業の維持・強化を明記。昨年末に見直された防衛計画の大綱でも同様の方針を掲げ、随意契約の活用など、企業側に有利な条件の整備を始めている。
ただ、多額の費用をかけて開発しても、装備品の納入先は同省に限られるため受注の拡大は難しい。一方で、高度な技術力や専用の生産ラインを維持し続ける必要がある。防衛費自体は増加しているものの、近年は、米国製の大型装備品の調達に防衛予算が割かれることで他の装備品に使う予算が圧迫され、下請け企業の中には撤退の動きもあるという。政府関係者は「大手といえども、限られた資本や資源を防衛装備品の開発に充てる余裕がなくなってきている」と分析する。
同社は「現時点で、新規開発は一切予定していない。開発のコストをカバーするだけの利益がなければ、開発・生産基盤が維持できない」としている。同省は「個々の企業とのやり取りについては答えられない」としている。
国防を下支えしてきた小松製作所が車両の新規開発を行わない意向を防衛省に伝えたのは、国内防衛産業の疲弊を象徴する事例と言える。 防衛省が2016年、装備品を開発・製造する企業に行ったアンケートでは、下請けの倒産や事業撤退で部品供給が滞ったと回答した企業が、72社のうち52社に上った。 ある防衛関連企業の幹部は「採算は厳しい。多くの企業が『国防を担っている』という責任感だけで続けている」と明かす。大規模災害などで急な大量発注があった時は、退職した熟練OBをかき集めて、納入にこぎ着けている企業もある。 国際共同開発や徹底したコスト縮減など、高性能な装備品をより安価に調達する努力は必要だ。一方、同様の事例が相次げば特殊な技術の継承ができずに国内の生産基盤が弱体化し、長期的には防衛力の低下を招く。有事などの際の安定調達にも支障が出かねない。政府は、防衛装備品の効率的な取得を追求しつつ、国内防衛産業基盤の維持にも本腰を入れて取り組む必要がある。(社会部 大野潤三)

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6314619

ハッキリ言えば、自衛隊、ひいては日本政府の自業自得。
今まで、防衛装備の調達について、日本はずっと民間企業に甘えて、高い負担を押し付ける割に、報いる事があまりにも小さかった。
アメリカや韓国のように、軍事メーカーと癒着しろとは言わないが、日本政府の装備調達はあまりにも身勝手な政府有利なルールで動いている。
開発リスクやライセンス調達に関わる負担をメーカーに丸投げした上で、開発が上手くいって予算が余ったら返却させるなんて、耳を疑うレベルだし、国の都合で調達予定が減ったら、企業側が予定を見越して多めに取得していたライセンス料の不払いするなど、あまりにも防衛企業が利益が得られないように絞り倒す今のやり口が、まかり通っているのは、不健全極まりない。
ちなみに、コマツが手を引く直接の理由になったと思われるのが、「装輪装甲車(改)の開発中止」にあった。
この案件、政府が開発にたった47億円しか出さず、案の定、開発に失敗した案件で、コマツ側が要求性能を満たせなかった、と安すぎる開発費を棚に上げた非難の上、中止となってしまったのである。
そもそも、アメリカがイラクやアフガンで万単位で生産して、撤退と共にタダ同然に現地に払い下げた耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)相当の車両開発と思いきや、陸自の要求性能は高いにも拘らず、アメリカはMRAP開発予算に1300億円を出しているのに、陸自が払ったのはたった47億円である。
しかも、当初の計画では、市販品を流用して安く作る、と言う話だったのに、日本の道交法を守りつつ、陸自の無茶な要求*1を満たすよう求められた結果、車体から新造レベルの開発となって、最初の「市販品を流用して安く」が崩れてしまっているのに、予算は据え置き。
イジメか!?と。
結果として出来上がった試作車は、装甲は薄く、しかも重すぎる車重から不整地走行性能は低く、当然のように自衛隊の要求を満たせなかったし、そもそも足りてない予算だったのに、足が出た分は自腹で開発を続けろと言われたところで、コマツとしては赤字が増えるだけとなって、続ける意義を失ってしまった。
そして、中止。
これだけ酷い目に遭えば、コマツじゃなくても自衛隊案件なんて請けたくなくなるだろJKという話だ。
そもそも、「たった280億円の年間調達」で、国内7位の防衛企業大手(笑)というのは、寒い笑いしか出ない。
コマツの単体売上高で、6924億円、グループ連結で1兆8549億円の中で、たった280億。
その癖、利益なんて薄く、面倒や苦労ばかり。
そりゃ、切るよ。
ついでに言うと、装甲車の開発はかなり難しい。
理由は簡単で、ゲリラが使用できる即席爆発装置(IDE)の高威力化が著しく、場合によっては主力戦車を撃破するほどになっている。
そんな威力を、軽装甲車両で防げるはずもない。
結果的に、地上戦でも「矛の圧勝」が普遍化しつつあるのだ。
なので、「どこまで守るか」と言う点が、軽装甲車両の開発に於いては、非常に重要な要素となる。
これをイラクやアフガンで苦労した米軍の耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)が証明しており、実戦で使われる事で多くのフィードバックや改良が施されている。
陸自は、恥も外聞も無く、アフガンで無料同然で売却された耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)から、良いのを研究用に何台か安く譲って貰えばよかったのに、と思うぐらい。
なお、アメリカは即席爆発装置(IDE)対策に、輸送トラックやハンヴィーの装甲化の為、単年で7000億円以上を継続して出費している。
日本も、真面目に陸自戦力の装甲化を進めるなら、その1/3も予算付ければいいのに、開発費47億円()
その上、防御は厚ければ厚いほど良い、と言う前近代的な思考で開発しているのだから…そりゃ失敗するわ。
正直、金が無い、開発予算も無い、ならアメリカの耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)に金を出して、相乗りしてしまえばいいのに、と思う。

*1:車高は低く、兵員スペースは広く、結果として車体は大きく、被弾面積は増えたけど耐弾性能は据え置き…などなど。特に装甲面積の増大は、そのまま車重の大幅UPに繋がり、車重増加は車両としての性能を低くしてしまった。でも、自衛隊の要求性能は据え置き。…お前らそんなに装甲が好きなら10式戦車を大増産して、戦車で兵員輸送でもすれば良いんじゃないですかねぇ?、と言いたくなる話である