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ロッキード・マーティン、軌道上で衛星のミッションを変えられる衛星を発表 | マイナビニュース

ロッキード・マーティン、軌道上で衛星のミッションを変えられる衛星を発表 | マイナビニュース

米国の航空宇宙企業ロッキード・マーティンは2019年3月20日、軌道上で衛星のミッションを変えられる衛星「スマートサット(SmartSat)」のコンセプトを発表した。
スマートフォンにアプリを追加するように、衛星のソフトウェアを変えることで、衛星に新たな能力やミッションを与えることができるのが特徴で、同社では早ければ今年中にも、この技術を適用した超小型衛星を打ち上げることを目指している。
(中略)
同社は「まるでスマートフォンにアプリを追加するかのように」、またIT業界でおなじみの「ソフトウェア定義(Software Defined:SDx)」という言葉を使った「ソフトウェア定義衛星(software-defined satellite)」という言葉で、この衛星の特徴を説明する。
(中略)
スマートサットは、米国国立科学財団(NSF)が開発した、高性能かつ放射線に強いコンピューターを搭載。このコンピューターはマルチコア処理能力をもち、ハイパーバイザー(仮想化OS)を使って仮想マシンをコンテナ化する。従来の衛星は、単一のプロセッサーでプログラムを動かしており、マルチコア処理の導入はほぼ初めてだという。
これにより、1台のコンピューターで複数のサーバーを仮想的に動かすことができ、衛星が軌道上でより多くのデータを処理したり、どのデータを地球に送信するかという優先順位付けをしたりといったことを可能にするとしている。
衛星のデータ処理能力が上がることで、最も重要かつ関連性の高い情報だけを送信することができるようになり、それにより通信の帯域幅のコストを節約し、また地上局の負担を軽減できるという。また、将来的には宇宙にデータセンターを置くような時代も実現するだろうとしている。
また、通信のビーム径を変更したり、帯域幅を調整したりできる機器も搭載し、マルチコア処理と合わせることで、衛星が軌道上にいながら、プログラムの書き換えだけで、衛星の機能や能力、目的を変更することができるようになるという。
この技術を使うことで、たとえば当初は西欧に向けてサービスを提供していた通信衛星を、東欧にサービスを提供できるようにするといったことが可能になるとしている。
さらに、サイバーセキュリティの面でも強化が図られており、スマートサットの技術を搭載した衛星は、自律的にコンピューターの診断やリセット、必要に応じてバックアップをかけることができ、サイバー攻撃などの脅威を自律的に検知し、防御策を取ることもできるとしている。また、新たな脅威に対抗するため、衛星内のコンピューターにあるセキュリティ・プログラムを定期的に更新することもできるという。
ロッキード・マーティンは現在、同社の超小型衛星バス「LM 50」にこの技術を導入した、いくつかの試験機の打ち上げを計画しており、早ければ今年中にも打ち上げたいとしている。
そのひとつの「ライナス(Linus)」は、2機の12Uサイズのキューブサットからなる計画で、スマートサットの性能と、また3Dプリントされた衛星用部品の実証を行う。
もうひとつは「ポニー・エクスプレス(Pony Express)」と呼ばれる計画で、複数の6Uサイズのキューブサットからなり、最初の1機はクラウド・コンピューティングインフラストラクチャー上でソフトウェア定義の搭載機器の技術を試験する。また残りの衛星では、高周波を使った衛星の編隊飛行や、衛星同士の通信ネットワークの実証を行うとしている。
また、この技術は大型の衛星にも使うことができるという。
Ambrose氏は「LM 50はこの画期的な新技術を試験するのに最適な衛星バスです。そしてこの技術は、LM 50だけでなく、当社の主力製品である大型の静止衛星バス『LM 2100』に組み込むことも可能です」と語る。

出典
Lockheed Martin's First Smart Satellites are Tiny with Big Missions - Mar 20, 2019
LM 50 Payload Accommodation

https://news.mynavi.jp/article/20190422-813061/

スマートフォンに代表される、小型・高性能・省電力のテクノロジーが高度化する事によって、超小型衛星サイズでも、十分な処理能力を持ったコンピューターとメモリを利用出来るようになった事で、実現したものだと思う…が。
光学カメラを搭載していない衛星が、偵察衛星になれないように、ソフトウェアの組み換えだけで換えられるミッションなんて、たかが知れている。
しかも、ベースの超小型衛星バスLM50は、寿命は12から18か月程度であり、軌道上でミッション変更を必要とする程に、長い期間、運用されるものですらない。
そもそも、「冗長性」というものは、「余裕」であり「無駄」でもある訳で、投入質量に制限のある宇宙機が、可能な限り安全マージンを確保しつつ、僅かな「無駄」をカットする事でコスト改善をしている中、「汎用性」という言葉は、宇宙開発に於いて「真っ先にカットされる無駄」と言い換えても良いのだ。
あと、「地上からミッションプログラムを全面的に書き換える事が出来る」ってのは、昔のSFで流行ったスーパーハッカーが衛星を乗っ取ってアレコレするって胸アツ展開が現実にも可能になる訳で、「サイバーセキュリティの面でも強化」を真っ先に組み込んできた辺り、LMはアメリカ最大規模の軍需企業だけあって、良く判っているとしか。