gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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世界銀行、1996-2006年の世界ガバナンス指標を発表

ニュース的には少し前のもので、日本語訳が存在しない事もあり、とっくに2007年のデータまで発表されているのだが、世界銀行が調査・公開している「世界ガバナンス指標」*1 を見ると、日本が世界からどのように評価されているかの一端を知る事ができる。
「世界ガバナンス(=政府統治能力)指標」は、下記の項目で0から100点で評価される。

表現の自由と説明責任:国民が自国政府の選出にどの程度参加できるかと、表現の自由、結社の自由、報道の自由の程度とを測定。
政治的安定と非暴力:非合法的手段や暴力的手段(テロリズムなど)によって、政府が存続の危機に陥ったり崩壊したりする可能性に対する懸念の度合いを測定。
政府の有効性:公務の質、行政サービスの質と政治的圧力からの自由度、政策の立案と実行の質、および、そうした政策を実行するという政府の公約の信頼性を測定。
規制の質:民間セクターの発展を認め、またそれを促進するための健全な政策と規制を立案および実行する能力が、政府にどの程度あるかを測定。
法の支配:政府職員がどの程度社会のルールに信頼感を持ち、従っているか(特に約定履行や警察や裁判所の質、および犯罪や暴力を起こす可能性)を測定。
不正取締り:個人的な利益を得るための公権力行使(小さな不正と大規模な不正との両方、および、私益やエリートによる国家機関の「支配」を含む)の度合いを測定。

という指標で、日本は 2008年の報告(2007年までの数値が発表されている)で

表現の自由と説明責任:75.5
政治的安定と非暴力:84.6
政府の有効性:89.1
規制の質:83.5
法の支配:90
不正取締り:84.5

となっており、
表現の自由と説明責任は 2004年の 81.7 を最高に 「下がりっぱなし」
政府の有効性は 2006年の 90.0 を最高に 「下降」
規制の質は、一時期は 70を割る酷さだったが 2006年に 最高の 86.3 となったが「下降」
不正取締りも、2006年の 90.3 を最高に 「下降」
なのに、
法の支配だけは 2005年に最高の 90.0 に達した後、その値を維持している。
ちなみに、アジアに存在する特定の三国の場合は

◆韓国
表現の自由と説明責任:66.8
政治的安定と非暴力:62
政府の有効性:86.3
規制の質:78.6
法の支配:74.8
不正取締り:68.1
個人的な備考:全ての値が年々上昇中。

北朝鮮
表現の自由と説明責任:0
政治的安定と非暴力::56.7
政府の有効性:0.5
規制の質:0.5
法の支配:15.2
不正取締り:0.5
個人的な備考:あらゆる意味で論外。本当に国ですか?

◆中国
表現の自由と説明責任:5.8
政治的安定と非暴力:32.2
政府の有効性:61.1
規制の質:45.6
法の支配:42.4
不正取締り:30.9
個人的な備考:政府の有効性と規制の質は上昇しているものの、その他は減少。自由が無いのは仕方が無いが、安定の緑色となる75ポイント以上の項目数…0(爆)

韓国の「政府の有効性」という点では、実は2005年の日本と同レベルなんだぜ…。つまり、日本政府は韓国政府に近いうちに有効性で追い抜かれる事確定。
「規制の質」でも2003年の日本と同レベルだから、こちらも…。
まあ、他は当面勝負にならないけど。
このポイントは、
100-90 を濃い緑、90-75 を薄い緑、75-50 を黄色、50-25 を濃い黄色、25-10 を薄い赤、10-0 を濃い赤 で表現しているのだけれど、先進国で黄色(75)以下を2つ以上持ってる国は多く無い。
参考までに。

アメリ
表現の自由と説明責任:85.1
政治的安定と非暴力:55.8
政府の有効性:91.5
規制の質:90.8
法の支配:91.9
不正取締り:91.3
個人的な備考:流石に、世界中からテロの標的にされているだけあって、「政治的安定と非暴力」だけは低いけれど、他は全て高い。

◆イギリス
表現の自由と説明責任:93.8
政治的安定と非暴力::66.3
政府の有効性:93.8
規制の質:98.1
法の支配:92.9
不正取締り:93.7
個人的な備考:こちらも世界中のテロ屋さんから狙われているだけあって、「政治的安定と非暴力」だけは低いけれど、他はアメリカと比べても高い。
同じ島国なのにこの違い。

◆ドイツ
表現の自由と説明責任:94.7
政治的安定と非暴力:81.3
政府の有効性:92.4
規制の質:92.7
法の支配:94.3
不正取締り:93.2
個人的な備考:「政治的安定と非暴力」を除いて全て、日本以上。同じ敗戦国上がりで、同じように真面目な国民性で、向こうの方が東西分断されて大変だったのに、この差はなんなんだろうね。

◆オーストラリア
表現の自由と説明責任:92.8
政治的安定と非暴力:78.8
政府の有効性:97.2
規制の質:96.1
法の支配:94.8
不正取締り:94.7
個人的な備考:おーい、こっちも「政治的安定と非暴力」を除いて全て、負けてるんですけど。オージー涙目とか言う前に、自国を省みよう。…反省。

という訳で、他の先進国に比べると、日本政府は民族とか宗教とかテロ屋の標的になるような問題が無い事で「安全」である以外は、全てに於いて負けてるんだよなぁ…。
…これで移民とか本格的に始まれば、確実にこの値も劇的に低下する(爆)
この調査結果が全面的に正しいとは思わないけれど、国連機関の調査結果で、銀行というシビアな世界から見た話だから、あんまり現実から乖離しているとも思えないので、如何に日本が経済大国なんて言っても、「国としては二流」と言われてるのは、この評価を見ればよく判るかなぁ。

追記:
BRIICS もオマケでのっけてみる。(中国は重複だけど一応、入れておく)

◆ブラジル (B)
表現の自由と説明責任:59.1
政治的安定と非暴力:36.5
政府の有効性:52.6
規制の質:53.4
法の支配:43.3
不正取締り:52.2

◆ロシア (R)
表現の自由と説明責任:20.2
政治的安定と非暴力:23.1
政府の有効性:42.2
規制の質:35.0
法の支配:16.7
不正取締り:16.4

◆インド (I)
表現の自由と説明責任:58.7
政治的安定と非暴力:17.8
政府の有効性:57.3
規制の質:46.1
法の支配:56.2
不正取締り:47.3

インドネシア (I)
表現の自由と説明責任:42.8
政治的安定と非暴力:14.9
政府の有効性:41.7
規制の質:43.7
法の支配:27.1
不正取締り:27.1

◆中国 (C)
表現の自由と説明責任:5.8
政治的安定と非暴力:32.2
政府の有効性:61.1
規制の質:45.6
法の支配:42.4
不正取締り:30.9

南アフリカ (S)
表現の自由と説明責任:68.8
政治的安定と非暴力:51.1
政府の有効性:74.9
規制の質:65.5
法の支配:57.1
不正取締り:67.1

意外に高評価なのが南アフリカ
共産国家のロシアと中国が「表現の自由と説明責任」が低いのそういう政治体制だから仕方が無いとして、ロシアとインドネシアの法の支配と不正取締りの低さが気になるところ。
つか、役人賄賂が当然のように横行している中国以下という時点で(ry
こうしてガバナンスで見ると、中ロは共産国家としての危うさが、インドやインドネシアは政治的安定が問題で、ブラジルや南アフリカがよさげに見えるなぁ…。
実際には、もっと複雑な要素が沢山あるんだろうけれど。