gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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「トランプ大統領」誕生 - 山猫日記

トランプ大統領が誕生しました。ほとんどのメディアも、識者も、クリントン氏有利を予想していたこともあり、歴史的な事件であるとの論調が世界中を駆け巡りました。米国大統領が持っている権力と、時代の雰囲気を作り出す能力は今なお絶大ですから、我々が時代の一つの転換点に立っていることは間違いありません。それは、かつてニクソン大統領がニクソンショックを通じて国際経済のあり方や冷戦構造に風穴をあけ、レーガン大統領が資本主義を再定義して冷戦を終わらせたことに匹敵する新たな時代が始まろうとしているのだろうと思います。
世界中の専門家が選挙戦の予想をしていたのに、ここまで大きな読み違えがあったのは、いくつかの要因が重なったからです。第一は、北部の民主党支持と思われていた州における人口動態や投票率を読み間違えたこと。第二は、世論調査が人々の本音を反映していなかったこと。そして、最大の第三は、偏見にとらわれてトランプ現象の本質を理解せずに都合の良い数字ばかりを追いかけていたことです。
(中略)
逆転劇を支えたのは、トランプを支持した白人層の投票率が大幅に上昇し、マイノリティーのそれが伸び悩んだことです。
(中略)
専門家が分析の糧としていた世論調査が人々の本音を反映していなかったということです。より大きくは、専門家やエリートが国民から遊離してしまっているということかもしれません。
(中略)
トランプ現象とは、その本質において、保守的なレトリックで中道の経済政策を語ることなのです。それによって、伝統的な共和党支持層を取り込みつつ、新しい有権者の獲得に成功したわけです。辻褄が合わないところも、一貫性がないところもあるけれど、保守的なのはレトリックであって政策ではありません。
(中略)
トランプ氏は同時に、高齢者福祉は不可侵であり、公共事業の大盤振る舞い、一部の投資所得への増税を公約しています。これは、「小さな政府」が金科玉条の従来型の共和党候補から出てきません。
(中略)
トランプ氏への支持が集まった大きな要因には、米国の既存の政治への深い絶望と怒りがあります。弱者やマイノリティーの待遇改善を掲げながら何十年にもわたって結果を出せてこなかった民主党には、「貧困ビジネス」と言われてもしょうがないダークな部分が存在します。
(中略)
経済政策については、一貫してトランプ支持が上回っていました。雇用改善を最優先する立場からNAFTAやTPPを攻撃し保護主義的な立場を取っています。
(中略)
米国企業が海外に滞留させている資金を一回限り10%の法人税で還流させる政策は米国経済を空前の好景気へと導くのではないでしょうか。
(中略)
トランプ大統領の外交を一言で表すとすれば、「意気揚々と撤退する米国」ということになろうと思います。
(中略)
そんなトランプ大統領アメリカに対して日本にできることは、自分で考えて、自分で立って、自分で行動することです。相手はビジネスマンであり、自信満々のディールメーカーです。「これまでの経緯」を懇切丁寧に説明しても、双方に利益を見出せるようでなければ相手にされません。急にシッポを振っても軽蔑されるのが落ちです。東アジアで最重要の同盟国として、アジアで最大の先進国の市場として、日本と向き合う日は来るのだから、腰を落ち着けて対処すればいいのです。
(後略)

http://lullymiura.hatenadiary.jp/entry/2016/11/09/224156

良いエントリだと思う。
状況的に、日本がミンス党を選んだ時に似ているね。
…まあ、流石に売国ルーピー集団と比較したらトランプに失礼になるけど(汗)
トランプが政治家でなく、ビジネスマンである、という分析は目からウロコでもあったが、合っているように思う。
トランプがビジネスマンとして「これまでの経緯」を無視するなら、日本もアメリカとの「これまでの経緯」を気にする必要が無い、と言う事でもある。
日本企業が海外に滞留させている300兆円の外貨の内部留保は、日本政府も積極的に国内に還流させる政策を採れば、アベノミクスも成功したんだろうけれど、その300兆円の過半がアメリカにあるので、それをやるとアメリカの経済が死ぬから出来なかった。
日本が大量に保有する米国債と一緒で、あってもアメリカとの関係上、日本の為には使えない、死に金だったから、ドルのまま海外に再投資されていて、日本が失われた20年とか言ってる状況でも、海外は好景気になってた一因である。
アメリカが「これまでの経緯」ではなく、目の前の利益だけで動くなら、当然だけど日本も「これまでの経緯」でアメリカに無償で協力してきた部分を、全て「アメリカが享受している利益」として持ち出さざるを得ないだろう。
TPPを日本経済圏として私物化し、米国債は必要に応じてバンバン売り捌いて運用益を出すようにして、外貨の内部留保も一気に引き上げ、日本に再投資されるようにして、日本は思いやり予算を増額して米軍の駐留費用を負担するけれど、同時に「これまでの経緯」で無償で提供されていた土地使用料や、様々な特権的な待遇に伴う諸費用も、負担してもらう。国連ではアメリカだけ2票持っている、と言われたような対米追随政策は、アメリカから相応の利益が提示されなければ、検討する必要すらない。文句は無いよね…と思う訳だ。
トランプの視点は、近視眼的過ぎる。
しかし、その理由が、彼が政治家ではなく、目の前の利益を追うビジネスマンだったと言われて、非常に納得できる話だと思う。
本当に彼がビジネスマンとして、これからのアメリカを舵取りするなら、やはりトランプは「超大国アメリカ」を殺す「超大国アメリカ最後の大統領」になるだろう。