gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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中国 「1人当たり軍事費日本の5分の1」 NHKニュース

中国政府は、自国の軍事費について、「1人当たりの軍事費は日本の5分の1だ」という主張を始め、急速に増強する軍事力を小さく見せることによって、軍事力の増強に対する国際社会の懸念をかわそうというねらいがあるものとみられます。
中国外務省の華春瑩報道官は、7日の定例記者会見で、「中国の人口は日本の10倍余りで、面積は日本のおよそ26倍だ。ただし、中国の1人当たりの軍事費は日本の5分の1にすぎない」と述べたうえで、安倍総理大臣の靖国神社参拝で対立する日本を「軍国主義が残っている」と批判しました。中国はこのほか、イギリスに駐在する劉暁明大使が、今月3日、イギリスメディアに対し、「中国の1人当たりの軍事費は、アメリカやイギリス、日本に比べ最も低い」などと述べており、最近、軍事費を人口当たりの額で主張することを始めています。
中国の去年の国防費の予算は、日本円で11兆1120億円に上り、この10年でおよそ4倍近くに増えています。
中国政府としては、急速に増強する軍事力を小さく見せることによって、日本を軍国主義だと批判するとともに、中国の軍事力に対する国際社会の懸念をかわそうというねらいがあるものとみられます。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140107/k10014329031000.html

軍事費ってのは、軍人の人件費に直結しているので「一人当たりのGDP比」とは相関があるけれど、単なる国民の人数とはほとんど相関は無いねんで?*1
ちなみに、一人当たりのGDPは2012年だと日本は世界12位の46,706.72ドル。中国は世界88位の6,071.47ドルとなる。
2012年当事の1ドルは79.79円なので、日本は372万円、中国は48万円となる。
日本の自衛隊は兵員数23万人、中国は229万人。
2011年の軍事費*2は、自衛隊は4兆3623億円、中国は10兆3417億円。
一人当たりのGDPと兵員数を掛け算すると、大体の人件費が求められるのだが、推定値が日本は8556億円、中国は1兆992億円となる。
日本の場合、推定値ではなく、きちんと防衛費中の人件費が公開されているので、見てみると*3、人件・糧食費は全予算の44.9%に達する2兆916億円。
一人当たりのGDPから推定した額に比べると、2.45倍くらい。
中国に於いても、軍人は給与面で優遇されているらしいので、同比率を適用すると、中国の軍事費中の人件費は、2兆6871億円程度と推測できる。*4
では、軍事費に於いて、人件費以外の「真水」を計算してみると…
日本は2兆2200億円、中国は7兆5400億円となる。
「公開されている分だけ」でも、日中間で軍事費の真水分は、3.4倍もの開きがあるのだ。
そして、実際には中国が周辺予算として軍事費に計上していない「実質軍事費」を含めると、年20兆円を越えるといわれており、それを加味すると中国の軍事費は真水分で17兆円を越え、日本の7.6倍以上の軍事費を毎年使っているのである。
そりゃ、金の掛かる戦闘機開発を複数抱え、空母を含めて毎年10隻以上の新造艦を就役させられる訳だよ。
問題は、この程度の数字のトリックを、判ってて日本批判に使うクズが、日本国内外に多数存在する事だろうか。
余談だけど、韓国は一人当たりのGDPが22588.92ドル。日本円にすると180万円。
兵員数は61万人なので、人件費の推定値を計算すると、1兆994億円。
…ところが、韓国の場合、兵役で掻き集めた人件費が最低限の軍隊なんで、実はこの推計値以下しか支払っていなかったりする。
なんと言っても、徴兵された上等兵の月給が13,500円*5に「増額」されて、防衛費がピンチ!とかニュースになる国なのだ。
韓国では軍事費の3割程度が人件費と言われているのだが、それから計算すると、実際の人件費は大幅に縮小されて、日本では人件費が一人当たりのGDPの2.6倍に対して、韓国では一人当たりのGDPの0.6倍しか支払われていないと判る。(まあ、一番数が多い徴兵された一番下っ端が1/10以下だし…)
…ああ、話が横に逸れた。
韓国では人件費が総軍事費の3割なので、軍事費の真水分は1兆5600億円となり、実に日本の74%に匹敵する軍事費を使っている事になる。
国家予算規模で日本の半分、GDPでは日本の1/5しかない小国が、実質的には日本の75%に匹敵する軍事費を使っているのだ。
この場合、韓国が「軍事偏重国家」であるというべきなのか、日本が軍縮しすぎと言うべきなのか。
…まあ、客観的に見て後者だよね。

*1:人口が多い国は、兵員数が多くなりがち…程度には関係あるけど、先進国だと、逆に減る場合もあるので絶対ではない

*2:http://10rank.blog.fc2.com/blog-entry-95.html

*3:http://www.mod.go.jp/j/yosan/2012/gaisan.pdf

*4:実際には、中国人民軍は元々が地方軍閥のゲリラ兵なので自前で兵站するのが伝統になっており、世界で一番商売熱心な軍隊と揶揄されるように、軍事力を背景にヤクザ商売で儲けた分を予算外で運用しているから、中央が給与として支払っている金は殆ど無いといわれている…代わりに、中国に進出した日本企業が、現地採用する際に、元人民軍兵士なら兵役期間を加味した高額な給与を支払わされる事例もあり、なんだかんだと国は金を出さない仕組みになっている

*5:桁は間違っていません